2013年6月19日水曜日

[MOVIDA SCHOOL]「企業価値について」 VENTURE UNITED 丸山聡さん

6/18(火)のmovida schoolの講師は VENTURE UNITED丸山聡さん。
テーマは「企業価値」。

VENTURE UNITEDはベンチャー企業がseed stageの後のearly stageという段階に入るころに投資を行うVC。(seed stageにはmovida等が位置づけられる。)

ここが投資先一覧。いけてる感じがする。

さて本題。


企業価値=負債価値+株式価値


であるが、ここでは


株式価値=企業価値


と考える。


「企業価値は売り手と買い手が決める」


なので、投資家と起業家が折り合って決まるものであり、どちらかが一方的に決めるものではない。

企業価値には以下の5種類がある。

赤字のやつがスタートアップ企業にとって重要なやつ。

・上場企業の企業価値
・IPO時の企業価値
・M&A時の企業価値
・ベンチャー投資の企業価値
・その他(そのほか)の企業価値


IPO時の企業価値


申請時の税引き後当期純利益(計画)×類似上場企業の平均PER


・申請時の税引き後当期純利益(計画)
 
 今期の数字。つまり未来の数字。

・類似上場企業の平均PER

 最近はだいたい10程度、主幹事証券と交渉で決まる。
 類似の上場企業はどこなのかなぁと考えておくのが大事。

IPOできるかどうかは運次第。市場環境が悪いとPERが低い。2倍とかだと、証券会社的においしくなかったりするので見送られてしまう。


M&A時の企業価値


直前期の利益×直近の純資産額


買収金額を何年で回収できるか、という視点。(保守的な買い方)
利益がでてないとM&Aのスコープにはいらない。

データベースやユーザなどの利益と純資産ではかれない価値が大事。

InstagramをFacebookが10億ドルで買収したが、もしデータ数が1/10だったり1/100だったりしたらいくらになるか。
→1/10や1/100よりずっと小さくなる。価値がつかない可能性もある。

時間を買うイメージ。自分たちがゼロから作ったら、もっと安く作れると思われたら価値が低くなる。
日本の会社はその傾向が強い。自分たちで作れるのではないか幻想。

蓄積されたデータは資産価値を持つ。

ま特許やボトルネック技術(この技術がないとできない)などを持っていても価値は高まる。
でもやっぱり、ユーザベースが飛びぬけているのが強い。

ただし、M&Aは財務的余裕をもって臨むべき。
余裕がないと救済型M&Aになってしまう。
余裕をもってスケジュールを組むべし。


ベンチャー投資の企業価値


事業計画が実現して得られる企業価値×事業計画実現の確度


・事業計画が実現して得られる企業価値
 
サービスが持っているポテンシャルが最大限発現したときにユーザやアクティビティはどのくらいの数になるのか。これを基準にIPO時やM&A時の企業価値の最大値を量る。
山登りでいうと「山頂の高さ(富士山?高尾山?)」。


・事業計画実現の確度

 収益ではなく、KPI等はきちんと達成しているかどうか。
 山登りでいうと「山頂までの距離(1合目?8合目?)」。
 機関投資家はベンチャー投資したがらないが、VCは赤字のベンチャーにも投資する。
 この辺はventure capitalistの主観や机上の空論を基に投資されていたりする。
 →なので、起業家にとっては自分に合うcapitalistを探すことが大事。
 
 レイターステイジの企業の価値が高いのは、この確度が高くなってきているから。
 シードの場合は、山の高さはあるかもしれないけど、まだまだ距離あるよね。


投資自の企業価値とEXIT自の企業価値の差=投資採算

VCというのは複数のベンチャー企業に投資している。(ポートフォリオを組んでいる)
ポートフォリオを組んでいるからこそ、うまくいく企業からは高いリターンを上げなければならない。

ベンチャー投資の企業価値を高めるにはIPOとM&A(EXIT)の企業価値が高まる必要がある。

日本がアメリカに比べてベンチャー投資での企業価値が小さいのは、「IPOとM&A(EXIT)の企業価値」が小さいから。日本のIPOはアメリカのレイターステージレベル。
ただ、早めに市場の良さを得られるのはメリットである。(equityとdebtも両方得やすくなる)
日本は資金の調達コストが異常に安い。1%で借入ができたりする。
→経営戦略のわかるCFOが必要。

FACEBOOKやgoogleのような会社が日本からも出てこないと、ベンチャー投資での企業価値は上がってこない。
実は、日本は優秀な人をアメリカより安く雇える、というメリットもある。


VENTURE UNITEDの投資の視点


投資検討に際して評価する項目は5つ。
  1. サービス/ビジネスに成長のポテンシャルがあるか
  2. ユーザに愛されてそれに広がりがあるか
  3. 経営チームはイケてるか
  4. 事業戦略は明確で納得できるか
  5. EXITをイメージできて投資採算は十分か

1.サービス/ビジネスに成長のポテンシャルがあるか


トレンドから考えてビジネスとして成長できる可能性を感じるサービスか。
ビジネストレンドをきちっと抑えているかどうか。
フォローウィンドなのかアゲインストウィンドなのかは違う
先端過ぎても投資家に理解されない
タイミングが大事。半歩先行くくらいが大事。一歩先だとユーザもついてこれない。

2.ユーザに愛されてそれに広がりがあるか


・どういったユーザがどういったシーンで使うサービスかが明確に意識できるか。

市場規模が想像できる。

・それが新しい体験をあたえているか、継続的に使ってくれるサービスか、強味を感じるか。

違和感なくライフスタイルに溶け込んでいるか。

・そこに新しい発明(イノベーション)がエッセンスとして加わっているか。

今リアルでやっていることをただwebに置き換えました、じゃダメ。(ex.単純な家計簿とか)
クックパッドが単なるレシピ本にならなかったのは、レポートでのレスポンスがあること。ちょっとした付加価値が大事。

・ユーザに愛されているか。

mixiのコミュニティとか。熱量の高いユーザがどれくらいいるのか。

3.経営チームはイケてるか


やりきれるチーム(経営者)か、成長を意識できるチーム(経営者)か。
 
経営者の器以上に会社は大きくならない。
ステージごとに権限移譲をして、違う役割を演じられるようにならなければならない。
長い投資選定期間に、毎週、起業家に宿題を出してフィードバックを与える。
それに耐えられる起業家は良い。
器が大きいからこそ、いいメンバーが集まる。
話をする上で向き合う経営者かどうか。

経営者に成長の限界というものはあると思う。
従業員数、10人、30人、50人、100人、300人という壁がある。
10人で終わっちゃうのは、自分で何もかもやりたがる人。
300人とかになってると、宗教家みたいな存在になってくる。
経営者がビジネスの大きさとかにビビらないことも大事。

4.事業戦略は明確で納得できるか


調達した資金を何に使うか。300万円をいきなり快適なオフィスに使うとかだめ。
過去何やってきたかも大事だが、未来何するのかが大事。
山頂に向かう道筋に納得感があるか。
VCからもアイディアは出す。

5.EXITをイメージできて投資採算は十分か


・IPOを目指す際の今後の資金調立つを意識できるサービスやチーム(経営者)か
・もしくはM&Aの可能性が意識できるか。

VENTURE UNITEDから2000万~5000万を投資する場合が多いが、それで1年とか運営して次のラウンド戦えるか。次のラウンドで投資してもらえうるか。
次のラウンドの投資家は、機関投資家等の厳しめな人になるので、ちゃんと時流に乗っているサービスなのかが大事。
VENTURE UNITEDのラウンドはKPI等しか見ないが、次のラウンドでは損益やユーザベースを見てくる。


以上が評価項目5つ。
「2.ユーザに愛されてそれに広がりがあるか」と「3.経営チームはイケてるか」が大事。
その次に、「1.サービス/ビジネスに成長のポテンシャルあるか」。
「4.事業戦略は明確で納得できるか」と「5.EXITをイメージできて投資採算は十分か」は最悪VC側でも考えられる。


VENTURE UNITEDのスタンス


ビジネスの可能性を感じられ、実現できるチームかどうか。


投資家によってスタンスが違う。早めに接触しといたほうがいい。

VCは誰もがわかる価値を得るのではなく、一人だけが得られる果実を享受したいと思っている。
なので、早い段階から話を一緒にしましょう。
ある会社には話を始めて9か月後に投資を実行した。


VENTURE UNITEDのビジョン


投資・支援活動を通じて起業家とともにワクワクする未来を創る


VENTURE UNITEDでは起業家に対して「僕ら」という。

以上でプレゼン終わり。


感想

early stageでは、capitalistはまだ損益で判断できる段階ではないため、capitalist自身の直観で投資している、というのが印象的だった。
なので、この段階では、丸山さんがおっしゃるよう、自分にあったcapitalistを見つけられるかが鍵であると感じた。
また、起業家は次のラウンドに関して意識し、capitalistと一緒に考えていくことが大事だと思った。

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