2013年6月26日水曜日

[MOVIDA SCHOOL]「心を掴むPR戦略の作り方」マガシーク株式会社 田尻有賀里さん

GREEの創業期を支えた田尻有賀里さんの「心を掴むPR戦略の作り方」についてのレクチャーを受けました。

大企業向けではなく、スタートアップのためのPRという切り口でお話頂きました。

田尻さんは、GREEがまだ30人程度だった時に入社し、広報部門の立ち上げを担当したそうです。マガシークでも広報部門の立ち上げを任されているそうです。

実は私も以前あるPR会社で働いていたことがあります。
大手や中堅企業のPRのプロフェッショナルは多くいらっしゃいますが、スタートアップのPRを経験されている方というのはあまりお会いしたことがありません。
スタートアップでは、プロダクトの開発やらで手一杯で、PR担当を専門におく余裕はななく、PRのノウハウが蓄積されていない印象です。
そんな中、田尻さんはGREEのスタートアップ段階でPRを担当したという希有な経験の持ち主です。しかも、2010年頃まで一人でPRを担当していたそうです。

30人規模から1000人規模への成長に貢献できる楽しさをもう一度体験したいということで、現在マガシークでPRを担当したり、スタートアップのPRを支援する活動を行っているとのことです。

以下、メモレベルですが、レクチャー内容です。

広告の特徴

多額の人件費や制作費がかかる。
・自分の好きなクリエイティブ(表現)を使うことができる。
・特効薬的(瞬発的)な効果


広報(PR)の特徴

・ほぼゼロ円
・自分たちの意図と違った出方をする可能性もある。
・客観的な情報のため信頼度が高い。
・漢方役的(本質的)な効果


PRができると、こんなによいことがある。

・コストはほぼ人的リソースのみで広告換算費数十万円から数億円の露出が可能。
 ex.
最近の東洋経済の特集「起業100のアイデア」。半ページに一社が扱われた。
このサイズで広告掲載すると数十万円はかかるが、記事掲載された。当然無料。
同じようなサービスをやっている会社もあるが、この特集に取り扱われたかどうかはその会社にPRマインドがあるかどうか。


・認知度の向上によりBtoBの営業支援、ユーザ獲得、採用支援、売り上げ増加などの効果が得られる。 


PR視点で物語を考えてみる


・PRは料理と同じ、PRパーソンは料理人、プロダクト・サービスは材料、食べてほしい人の好みを最大限想像して作る作業

・伝えたい対象とメッセージを決める。

・ストーリーを作る
 問題解決型、市場創造型、突破型

→ターゲットや流行のキーワードにあわせてメッセージ・切り口を変える

例えば、化粧品を男性誌に出すために、「男性のほうが肌が乾燥しやすい」等のストーリーを作る、等。

・何のために広報するのか、広報の目的を明確にする。
 上場前、採用広報、営業広報(広告とるため)、ユーザ獲得。
 上場後、投資家向け。


PRの方法 〜何から始めるか〜


どんなPRの手段があるか

・プレスリリース
・取材誘致
・メディアキャラバン
・ソーシャルメディアの運用
・コーポレートサイト➡とりあえずランディングページだけでも作っといた方がいい。

今すぐやるべき具体的アクション

・プレスリストの作成➡いちいち名刺を取り出すの面倒だからリスト化しとくべき。
・ソーシャルメディアアカウント、コーポレートサイトの作成
・キーワード(キャッチを作る)「日本初のSNS連動型ゲーム」「世界最大級のファッションECサイト」
・プレスリリースを配信するくせをつける。 


プレスリリースの作成


盛り込むべき要素
・いつどんなサービスが開発されるのか
・サービスは一言でいうと、何か
・他社サービスに比べて何があたらしくて、どんなことに有効なのか
・なぜそのサービスを作ったのか?背景はなにか(社会的ニーズ)
・その商品はどんな手法でできたのか?
・想定するユーザは?
・今後の展開はどう考えているのか(目標売り上げ金額、定性的な目標) 


プレスリリースを早く書くコツ

・タイトル、リード文、ボディ、コンクルージョンなどにわける。
 ボディも三つ位に分ける。
 →書けるところから埋めていく。

・同じようなサービスをネットで探す。どういうことをPRポイントとしているか調べる。
 このサービスはこのような部分を武器にしているんだな、というのがわかる。
 ※内容を真似するわけではない。


その他ポイント


・論理的に書くべし。思い入れがあるのはわかるが、小説みたいに感情的にするべきではない。目立つためには、タイトルで工夫をする。中身はあくまで論理的に。論理的な方が、記者さんが記事にする時に便利だから。
・最近はメールで送るの主流。件名はプレスリリースのタイトル+会社名。内容は本文に書く。
・PDFを添付するのはだめ。開いてくれない。
・画像は添付。jpgやpngでそのまま使えるようにする。
・タイトルはキャッチーなものをつける。
・タイトルは最後にみんなで決めたりする。
・プレスリリースは第三者にみてもらう。一人で出さない。 



PRのアウトソーシングのコツ

・PR会社はクライアント(依頼する側)がリテラリーを持って上手に利用する。
 PRはどんぶり勘定になってしまいがちなので、適正な価格になるよう注意。
・PR活動をおこなっていく上で自社のどこに課題があって何を解決してほしいのか明確にする。
・案件ごとにお願いする。→年契約等はしないほうがいい。
・依頼の仕方:やってほしいこと、出してほしい結果を明確にして、その結果にコミットしてもらう 。
・自社の競合からも仕事うけている業者さんは注意。情報漏洩は気にしたほうがいい。 


最後に、経営者が持つべきPRマインド

なぜ経営者がPRマインドを持ったほうがよいのか

・記者は社長に会いたい!ネタがほしい!今後の展開を聞きたい!
・広報は経営と直結している。
・PRは成長の促進剤、経営者がPRマインドを持つことで成長スピードが格段あがる
・レスはとにかく早く(アンサーは後でもいいけど、「折り返します」等言っておく)
・OK NGははっきり伝える(「ここはオフレコでお願いします」等)
・情報に関するアンテナを敏感に。情報が入ってくる仕組みを作る。
 (Facebook、社内SNS、勉強会など)
・笑顔は七難隠す(やっぱり人に好かれるのは有利)
・普段からのコミュニケーション

その他おっしゃっていた事

・営業活動だけではユーザがなかなか増えない段階に入った時、PR活動が有効になってくる。
・ソーシャルメディアの特徴を押さえて使うことが大事。
 Twitterは拡散性がある。しかも、日本は海外と違って、ネタが面白ければ大企業でなくても拡散する可能性が高い。
 自社の情報だけではなく、気になるニュースをRetweetするのも大事。
 Facebookは反応が返ってきやすいという特徴がある。


質疑応答

・会社設立はまだしていないが、サービスは動いているという段階でプレスリリースを配信するとしたら、配信元の名前はどうすればいいか?個人名か?

→そのサービスを運営しているグループ名等でよい。「サービス名」運営事務局等でも良い。法人化していなくても、PRは可能。

・スタートアップはいつからPR担当を置くべきか。

→兼務でも良いので最初から誰かが担うべき。メディアからの問い合わせで、「広報の方お願いします。」等聞かれる場合があるので、すぐに答えられないとよろしくない。最初はCEOが兼務するのがおすすめ。

・メディアに掲載されるコツはなにか。

1 常に日頃から記者とのネットワークをもっておくのが大事
「こんな情報がほしい。」という記者がいたら、すぐに情報を渡すことができる。記者は意外と情報に飢えている。
2 ターゲットメディアを設定しておくのが大事。
例えば、一般的な会社は日経新聞が一番のターゲットにしているところが多いが、GREEではCNETやテッククランチだった。自社にあったターゲットメディアを設定することが大事。

・スタートアップのCEOは、ソーシャルメディアやブログで実名で活動するべきか。
→YES。

感想
・改めてPRの力を実感した。
・資金のないスタートアップこそ、うまくPRを使うべきだと思った。
・普段からメディアに目を通し、記者がどんなネタを求めているかに敏感になっておくべきだと思った。
・スタートアップは細々と宣伝したいフェイズ(まだプロダクトがベータ版のフェイズetc)と大々的に宣伝したいフェイズがあると思うが、どのようにコントロールすればよいのか、という疑問が出てきた。

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