2013年6月26日水曜日

[MOVIDA SCHOOL]「心を掴むPR戦略の作り方」マガシーク株式会社 田尻有賀里さん

GREEの創業期を支えた田尻有賀里さんの「心を掴むPR戦略の作り方」についてのレクチャーを受けました。

大企業向けではなく、スタートアップのためのPRという切り口でお話頂きました。

田尻さんは、GREEがまだ30人程度だった時に入社し、広報部門の立ち上げを担当したそうです。マガシークでも広報部門の立ち上げを任されているそうです。

実は私も以前あるPR会社で働いていたことがあります。
大手や中堅企業のPRのプロフェッショナルは多くいらっしゃいますが、スタートアップのPRを経験されている方というのはあまりお会いしたことがありません。
スタートアップでは、プロダクトの開発やらで手一杯で、PR担当を専門におく余裕はななく、PRのノウハウが蓄積されていない印象です。
そんな中、田尻さんはGREEのスタートアップ段階でPRを担当したという希有な経験の持ち主です。しかも、2010年頃まで一人でPRを担当していたそうです。

30人規模から1000人規模への成長に貢献できる楽しさをもう一度体験したいということで、現在マガシークでPRを担当したり、スタートアップのPRを支援する活動を行っているとのことです。

以下、メモレベルですが、レクチャー内容です。

広告の特徴

多額の人件費や制作費がかかる。
・自分の好きなクリエイティブ(表現)を使うことができる。
・特効薬的(瞬発的)な効果


広報(PR)の特徴

・ほぼゼロ円
・自分たちの意図と違った出方をする可能性もある。
・客観的な情報のため信頼度が高い。
・漢方役的(本質的)な効果


PRができると、こんなによいことがある。

・コストはほぼ人的リソースのみで広告換算費数十万円から数億円の露出が可能。
 ex.
最近の東洋経済の特集「起業100のアイデア」。半ページに一社が扱われた。
このサイズで広告掲載すると数十万円はかかるが、記事掲載された。当然無料。
同じようなサービスをやっている会社もあるが、この特集に取り扱われたかどうかはその会社にPRマインドがあるかどうか。


・認知度の向上によりBtoBの営業支援、ユーザ獲得、採用支援、売り上げ増加などの効果が得られる。 


PR視点で物語を考えてみる


・PRは料理と同じ、PRパーソンは料理人、プロダクト・サービスは材料、食べてほしい人の好みを最大限想像して作る作業

・伝えたい対象とメッセージを決める。

・ストーリーを作る
 問題解決型、市場創造型、突破型

→ターゲットや流行のキーワードにあわせてメッセージ・切り口を変える

例えば、化粧品を男性誌に出すために、「男性のほうが肌が乾燥しやすい」等のストーリーを作る、等。

・何のために広報するのか、広報の目的を明確にする。
 上場前、採用広報、営業広報(広告とるため)、ユーザ獲得。
 上場後、投資家向け。


PRの方法 〜何から始めるか〜


どんなPRの手段があるか

・プレスリリース
・取材誘致
・メディアキャラバン
・ソーシャルメディアの運用
・コーポレートサイト➡とりあえずランディングページだけでも作っといた方がいい。

今すぐやるべき具体的アクション

・プレスリストの作成➡いちいち名刺を取り出すの面倒だからリスト化しとくべき。
・ソーシャルメディアアカウント、コーポレートサイトの作成
・キーワード(キャッチを作る)「日本初のSNS連動型ゲーム」「世界最大級のファッションECサイト」
・プレスリリースを配信するくせをつける。 


プレスリリースの作成


盛り込むべき要素
・いつどんなサービスが開発されるのか
・サービスは一言でいうと、何か
・他社サービスに比べて何があたらしくて、どんなことに有効なのか
・なぜそのサービスを作ったのか?背景はなにか(社会的ニーズ)
・その商品はどんな手法でできたのか?
・想定するユーザは?
・今後の展開はどう考えているのか(目標売り上げ金額、定性的な目標) 


プレスリリースを早く書くコツ

・タイトル、リード文、ボディ、コンクルージョンなどにわける。
 ボディも三つ位に分ける。
 →書けるところから埋めていく。

・同じようなサービスをネットで探す。どういうことをPRポイントとしているか調べる。
 このサービスはこのような部分を武器にしているんだな、というのがわかる。
 ※内容を真似するわけではない。


その他ポイント


・論理的に書くべし。思い入れがあるのはわかるが、小説みたいに感情的にするべきではない。目立つためには、タイトルで工夫をする。中身はあくまで論理的に。論理的な方が、記者さんが記事にする時に便利だから。
・最近はメールで送るの主流。件名はプレスリリースのタイトル+会社名。内容は本文に書く。
・PDFを添付するのはだめ。開いてくれない。
・画像は添付。jpgやpngでそのまま使えるようにする。
・タイトルはキャッチーなものをつける。
・タイトルは最後にみんなで決めたりする。
・プレスリリースは第三者にみてもらう。一人で出さない。 



PRのアウトソーシングのコツ

・PR会社はクライアント(依頼する側)がリテラリーを持って上手に利用する。
 PRはどんぶり勘定になってしまいがちなので、適正な価格になるよう注意。
・PR活動をおこなっていく上で自社のどこに課題があって何を解決してほしいのか明確にする。
・案件ごとにお願いする。→年契約等はしないほうがいい。
・依頼の仕方:やってほしいこと、出してほしい結果を明確にして、その結果にコミットしてもらう 。
・自社の競合からも仕事うけている業者さんは注意。情報漏洩は気にしたほうがいい。 


最後に、経営者が持つべきPRマインド

なぜ経営者がPRマインドを持ったほうがよいのか

・記者は社長に会いたい!ネタがほしい!今後の展開を聞きたい!
・広報は経営と直結している。
・PRは成長の促進剤、経営者がPRマインドを持つことで成長スピードが格段あがる
・レスはとにかく早く(アンサーは後でもいいけど、「折り返します」等言っておく)
・OK NGははっきり伝える(「ここはオフレコでお願いします」等)
・情報に関するアンテナを敏感に。情報が入ってくる仕組みを作る。
 (Facebook、社内SNS、勉強会など)
・笑顔は七難隠す(やっぱり人に好かれるのは有利)
・普段からのコミュニケーション

その他おっしゃっていた事

・営業活動だけではユーザがなかなか増えない段階に入った時、PR活動が有効になってくる。
・ソーシャルメディアの特徴を押さえて使うことが大事。
 Twitterは拡散性がある。しかも、日本は海外と違って、ネタが面白ければ大企業でなくても拡散する可能性が高い。
 自社の情報だけではなく、気になるニュースをRetweetするのも大事。
 Facebookは反応が返ってきやすいという特徴がある。


質疑応答

・会社設立はまだしていないが、サービスは動いているという段階でプレスリリースを配信するとしたら、配信元の名前はどうすればいいか?個人名か?

→そのサービスを運営しているグループ名等でよい。「サービス名」運営事務局等でも良い。法人化していなくても、PRは可能。

・スタートアップはいつからPR担当を置くべきか。

→兼務でも良いので最初から誰かが担うべき。メディアからの問い合わせで、「広報の方お願いします。」等聞かれる場合があるので、すぐに答えられないとよろしくない。最初はCEOが兼務するのがおすすめ。

・メディアに掲載されるコツはなにか。

1 常に日頃から記者とのネットワークをもっておくのが大事
「こんな情報がほしい。」という記者がいたら、すぐに情報を渡すことができる。記者は意外と情報に飢えている。
2 ターゲットメディアを設定しておくのが大事。
例えば、一般的な会社は日経新聞が一番のターゲットにしているところが多いが、GREEではCNETやテッククランチだった。自社にあったターゲットメディアを設定することが大事。

・スタートアップのCEOは、ソーシャルメディアやブログで実名で活動するべきか。
→YES。

感想
・改めてPRの力を実感した。
・資金のないスタートアップこそ、うまくPRを使うべきだと思った。
・普段からメディアに目を通し、記者がどんなネタを求めているかに敏感になっておくべきだと思った。
・スタートアップは細々と宣伝したいフェイズ(まだプロダクトがベータ版のフェイズetc)と大々的に宣伝したいフェイズがあると思うが、どのようにコントロールすればよいのか、という疑問が出てきた。

2013年6月19日水曜日

[MOVIDA SCHOOL]「企業価値について」 VENTURE UNITED 丸山聡さん

6/18(火)のmovida schoolの講師は VENTURE UNITED丸山聡さん。
テーマは「企業価値」。

VENTURE UNITEDはベンチャー企業がseed stageの後のearly stageという段階に入るころに投資を行うVC。(seed stageにはmovida等が位置づけられる。)

ここが投資先一覧。いけてる感じがする。

さて本題。


企業価値=負債価値+株式価値


であるが、ここでは


株式価値=企業価値


と考える。


「企業価値は売り手と買い手が決める」


なので、投資家と起業家が折り合って決まるものであり、どちらかが一方的に決めるものではない。

企業価値には以下の5種類がある。

赤字のやつがスタートアップ企業にとって重要なやつ。

・上場企業の企業価値
・IPO時の企業価値
・M&A時の企業価値
・ベンチャー投資の企業価値
・その他(そのほか)の企業価値


IPO時の企業価値


申請時の税引き後当期純利益(計画)×類似上場企業の平均PER


・申請時の税引き後当期純利益(計画)
 
 今期の数字。つまり未来の数字。

・類似上場企業の平均PER

 最近はだいたい10程度、主幹事証券と交渉で決まる。
 類似の上場企業はどこなのかなぁと考えておくのが大事。

IPOできるかどうかは運次第。市場環境が悪いとPERが低い。2倍とかだと、証券会社的においしくなかったりするので見送られてしまう。


M&A時の企業価値


直前期の利益×直近の純資産額


買収金額を何年で回収できるか、という視点。(保守的な買い方)
利益がでてないとM&Aのスコープにはいらない。

データベースやユーザなどの利益と純資産ではかれない価値が大事。

InstagramをFacebookが10億ドルで買収したが、もしデータ数が1/10だったり1/100だったりしたらいくらになるか。
→1/10や1/100よりずっと小さくなる。価値がつかない可能性もある。

時間を買うイメージ。自分たちがゼロから作ったら、もっと安く作れると思われたら価値が低くなる。
日本の会社はその傾向が強い。自分たちで作れるのではないか幻想。

蓄積されたデータは資産価値を持つ。

ま特許やボトルネック技術(この技術がないとできない)などを持っていても価値は高まる。
でもやっぱり、ユーザベースが飛びぬけているのが強い。

ただし、M&Aは財務的余裕をもって臨むべき。
余裕がないと救済型M&Aになってしまう。
余裕をもってスケジュールを組むべし。


ベンチャー投資の企業価値


事業計画が実現して得られる企業価値×事業計画実現の確度


・事業計画が実現して得られる企業価値
 
サービスが持っているポテンシャルが最大限発現したときにユーザやアクティビティはどのくらいの数になるのか。これを基準にIPO時やM&A時の企業価値の最大値を量る。
山登りでいうと「山頂の高さ(富士山?高尾山?)」。


・事業計画実現の確度

 収益ではなく、KPI等はきちんと達成しているかどうか。
 山登りでいうと「山頂までの距離(1合目?8合目?)」。
 機関投資家はベンチャー投資したがらないが、VCは赤字のベンチャーにも投資する。
 この辺はventure capitalistの主観や机上の空論を基に投資されていたりする。
 →なので、起業家にとっては自分に合うcapitalistを探すことが大事。
 
 レイターステイジの企業の価値が高いのは、この確度が高くなってきているから。
 シードの場合は、山の高さはあるかもしれないけど、まだまだ距離あるよね。


投資自の企業価値とEXIT自の企業価値の差=投資採算

VCというのは複数のベンチャー企業に投資している。(ポートフォリオを組んでいる)
ポートフォリオを組んでいるからこそ、うまくいく企業からは高いリターンを上げなければならない。

ベンチャー投資の企業価値を高めるにはIPOとM&A(EXIT)の企業価値が高まる必要がある。

日本がアメリカに比べてベンチャー投資での企業価値が小さいのは、「IPOとM&A(EXIT)の企業価値」が小さいから。日本のIPOはアメリカのレイターステージレベル。
ただ、早めに市場の良さを得られるのはメリットである。(equityとdebtも両方得やすくなる)
日本は資金の調達コストが異常に安い。1%で借入ができたりする。
→経営戦略のわかるCFOが必要。

FACEBOOKやgoogleのような会社が日本からも出てこないと、ベンチャー投資での企業価値は上がってこない。
実は、日本は優秀な人をアメリカより安く雇える、というメリットもある。


VENTURE UNITEDの投資の視点


投資検討に際して評価する項目は5つ。
  1. サービス/ビジネスに成長のポテンシャルがあるか
  2. ユーザに愛されてそれに広がりがあるか
  3. 経営チームはイケてるか
  4. 事業戦略は明確で納得できるか
  5. EXITをイメージできて投資採算は十分か

1.サービス/ビジネスに成長のポテンシャルがあるか


トレンドから考えてビジネスとして成長できる可能性を感じるサービスか。
ビジネストレンドをきちっと抑えているかどうか。
フォローウィンドなのかアゲインストウィンドなのかは違う
先端過ぎても投資家に理解されない
タイミングが大事。半歩先行くくらいが大事。一歩先だとユーザもついてこれない。

2.ユーザに愛されてそれに広がりがあるか


・どういったユーザがどういったシーンで使うサービスかが明確に意識できるか。

市場規模が想像できる。

・それが新しい体験をあたえているか、継続的に使ってくれるサービスか、強味を感じるか。

違和感なくライフスタイルに溶け込んでいるか。

・そこに新しい発明(イノベーション)がエッセンスとして加わっているか。

今リアルでやっていることをただwebに置き換えました、じゃダメ。(ex.単純な家計簿とか)
クックパッドが単なるレシピ本にならなかったのは、レポートでのレスポンスがあること。ちょっとした付加価値が大事。

・ユーザに愛されているか。

mixiのコミュニティとか。熱量の高いユーザがどれくらいいるのか。

3.経営チームはイケてるか


やりきれるチーム(経営者)か、成長を意識できるチーム(経営者)か。
 
経営者の器以上に会社は大きくならない。
ステージごとに権限移譲をして、違う役割を演じられるようにならなければならない。
長い投資選定期間に、毎週、起業家に宿題を出してフィードバックを与える。
それに耐えられる起業家は良い。
器が大きいからこそ、いいメンバーが集まる。
話をする上で向き合う経営者かどうか。

経営者に成長の限界というものはあると思う。
従業員数、10人、30人、50人、100人、300人という壁がある。
10人で終わっちゃうのは、自分で何もかもやりたがる人。
300人とかになってると、宗教家みたいな存在になってくる。
経営者がビジネスの大きさとかにビビらないことも大事。

4.事業戦略は明確で納得できるか


調達した資金を何に使うか。300万円をいきなり快適なオフィスに使うとかだめ。
過去何やってきたかも大事だが、未来何するのかが大事。
山頂に向かう道筋に納得感があるか。
VCからもアイディアは出す。

5.EXITをイメージできて投資採算は十分か


・IPOを目指す際の今後の資金調立つを意識できるサービスやチーム(経営者)か
・もしくはM&Aの可能性が意識できるか。

VENTURE UNITEDから2000万~5000万を投資する場合が多いが、それで1年とか運営して次のラウンド戦えるか。次のラウンドで投資してもらえうるか。
次のラウンドの投資家は、機関投資家等の厳しめな人になるので、ちゃんと時流に乗っているサービスなのかが大事。
VENTURE UNITEDのラウンドはKPI等しか見ないが、次のラウンドでは損益やユーザベースを見てくる。


以上が評価項目5つ。
「2.ユーザに愛されてそれに広がりがあるか」と「3.経営チームはイケてるか」が大事。
その次に、「1.サービス/ビジネスに成長のポテンシャルあるか」。
「4.事業戦略は明確で納得できるか」と「5.EXITをイメージできて投資採算は十分か」は最悪VC側でも考えられる。


VENTURE UNITEDのスタンス


ビジネスの可能性を感じられ、実現できるチームかどうか。


投資家によってスタンスが違う。早めに接触しといたほうがいい。

VCは誰もがわかる価値を得るのではなく、一人だけが得られる果実を享受したいと思っている。
なので、早い段階から話を一緒にしましょう。
ある会社には話を始めて9か月後に投資を実行した。


VENTURE UNITEDのビジョン


投資・支援活動を通じて起業家とともにワクワクする未来を創る


VENTURE UNITEDでは起業家に対して「僕ら」という。

以上でプレゼン終わり。


感想

early stageでは、capitalistはまだ損益で判断できる段階ではないため、capitalist自身の直観で投資している、というのが印象的だった。
なので、この段階では、丸山さんがおっしゃるよう、自分にあったcapitalistを見つけられるかが鍵であると感じた。
また、起業家は次のラウンドに関して意識し、capitalistと一緒に考えていくことが大事だと思った。

2013年4月30日火曜日

「ココナラの南さんに色々聞いてみよう@タネマキ」に出席しました!

4/27(土)、WEBサービス「ココナラ」の創業者、南さんのお話をコワーキングスペース「タネマキ」にて聞いてきました!

めちゃくちゃ切れ者、という印象です。一緒に出席していた僕の先輩も「いやぁ、頭のいい人の話を聞くと覚醒するねー。」とっていました。

こちらが発表資料です。

最初のほうに、経歴の説明がありました。
大銀行や投資銀行で名だたる企業の買収や再生にゴリゴリ関わっていたり、オックスフォードのMBAとっていたり、「あっ、雲の上の人の別格すぎる話で、僕のような凡人には参考にならないかもな。」と一瞬思いました。
でも、4時間近くぶっ通しのかなり突っ込んだ話を最後まで聞くと全然そんなことはありませんでした。

学ぶ事大有りでした!

色々お話されていましたが、個人的に真似したいと思った南さんの「姿勢」について2つ挙げます。

1.ビジョンを持つ

南さんは、今まで若者を支援するためのNPO等を設立したりと、社会へのコミットメントをかなりしている印象を受けました。ココナラの「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」というビジョンがあり、その前に挑戦されたヘルスケア系のビジネスのビジョンについても、どこか社会性がある印象がありました。
そのようなビジョンとサービスに一貫性があることが、ココナラがヒットサービスとなった一つの要因だと感じました。
WHY(なぜそれをやるか)というのがしっかりあるからこそ、リーンスタートアップ的な方法(HOW)がうまく回っていったのだと思います。
当然、WHYだけでなく、WHATやHOWについてもしっかりしており、そのバランスが良いから成功しているのでしょう。

2.作る前になんとか検証できないか試行錯誤する


ココナラでは、実際にコーディングして機能を追加する前に、本当に必要か、アンケートやモックや、あるときは、パワーポイントに画面のイメージを模した画等を描いて、ユーザの反応を見て、検証を行ったそうです。自分は、割と「実際にモノを使って貰わなきゃ検証できない」と思うほうだったので、このような細かい努力は目から鱗でした。
どうにかして事前に検証できる方法はないか思考錯誤する、という姿勢は是非とも真似したいですね。

その他印象に残ったキーワードを挙げます。

思いを伝えて欲しい物を言う。」
 →支援を受けるための極意

・「鍵を持っている人が門番の格好をしているわけじゃない。相手を値踏みしない。
 →思わぬ人が思わぬ支援をしてくれたりする。

・「体験を聞いて、意見を聞くな。」
 →人の話を聞くときの極意

文字にしてみるプロセスが大事
 →共同作業の極意?

具体化→抽象→具体化→抽象を繰り返す。
 →なんだっけ?すごく印象に残ったけど忘れてしまったorz

howについては先人に聞け。

・「サービをかたちづくる要素が、一環したストーリーのように調和している。」ことが大事。

・「サービスのビジョンとユーザのセルフゴールをマッチさせようとする視点
 
・「技術には2種類ある。ユーザ行動を変える技術とスピードをあげる技術」


こんな感じでたくさんの胸につきささる名言を残して頂きました。

最近「リーンスタートアップ」という言葉をよく見聞きします。
僕は、従来の経営学の有効性を疑問視していたため、リーンスタートアップについても同じだろうと思って軽視していました。ただ、南さんが書籍の「リーンスタートアップ」をお勧めしていたので、ちょっと勉強してみようという気になりました。

実は、今回話を聞いて、以下のような事を疑問に感じました。
今後、リーンスタートアップ等を読んでいくうちに解消できれば、と思います。

・ビジョンとは何か?

自分にもこんなことがしたい、とか、世の中こうなればいいのに、と思う事はある。
ただ、それをビジョンと呼んでよいものかがわからない。
仮にそれがビジョンでないとするならビジョンはどのように形作るものなのか。
ビジョンを持てることこそ才能なのだろうか!?

・実装しないで検証を行う場合、何を持って検証方法が正しいとするのか?

なるべく実装せずに検証できないか思考錯誤する姿勢は真似しようと思うのだけど、
実際、その検証方法は正しかったのだろうか?という不安をどのように拭うのか。
アンケートやモックアップによるユーザテストでどれほど正確に真実がわかるのか。
ネットワーク効果等、システムが稼動しないとわからない要素もあるのではないか。
そのあたりの、ノウハウがあるなら勉強してみたいです。

以上なり!

2013年1月8日火曜日

「若手を積極的に登用」について思うこと

企業の採用ページなんかを見ていると、よく「うちは若手を積極的に重要な仕事やポストに登用する社風です!」といった宣伝文句を見かけます。
新卒で入った会社に入ったばかりの頃、比較的伝統的な年功序列の社風な会社への反発心からか、僕も「若手を積極的に登用」している会社が生き生きとしていてよい会社だろうと単純に思っていました。なので、何かの機会に上記のような宣伝文句を見ると「いいなー、いいなー」とジェラシーを感じていました。
 でも、アラサーになった今(アラウンドじゃなくてジャスト30なのでジャスサーか)、このような宣伝文句についての感じ方が少し変わりました。

 一人若手を重要なポストに登用したら、一人ベテランが重要なポストから外れないと、釣り合わないのではないか、と思うようになりました。一つの組織にある重要な仕事やポストって無限ではなくて、有限だと思うからです。何を重要な仕事やポストとするかは難しい問題ですが、こういう文脈で語られる「重要な仕事やポスト」は実際に手を動かす現場作業ではなく、マネジメントや全体の方向性を決めるような上流の仕事だと思われます。

なので、「若手を積極的に登用」という宣伝に惹かれてその会社の採用試験を受ける場合は、ベテランが現場作業に積極的にアサインされているだろうか、という裏面からの観察も必要だと思います。つまり、ベテランから現場臭さが感じられるだろうか、という視点です。「重要なポスト」から「現場作業」へと移るベテランなくして、「若手の重要なポストへの登用」は有り得ないからです。
もし、ベテランからマネジメント臭さしか感じないのに、 「若手を積極的に登用します!」と宣伝している会社があったとしたら、僕は「本当かなぁ」と思ってしまいますね。

自分の数年の会社員経験や周囲からの話では、そのような両面からの視点に耐えうる会社はあまりありません。では、若手が積極的に登用される会社は存在しないのか、というとそうではありません。若手しかいないベンチャーと呼ばれるような会社では若手がCEOやCTOやCCOを勤めています。ただ、ベテラン社員がしっかり存在するような会社では、そのような会社は少ないのではないかと思います。

ベテランが現場の仕事をする、というと「降格」、「減給」といった悪いイメージを想起してしまう方もいるかもしれません。 自分はそうは思いません。現場に入ることでしかわからない問題点に気づくことができます。それを再びマネイジメントのポストに戻った際に活用し、改善したり新しいビジネスモデルを作ったりすることができると思います。マネジメント然としている人が現場からの報告だけで気づくのは相当難しいです。

「40歳台以降のおっちゃん、おばちゃんが、現場の細かいITの作業を覚えられるはずがない!」という意見があるかもしれません。でも、うちのアラウンド60の母を見ているとそうは思わないんですよね。最近うちのパソコンがWindowsからmacに変わったのですが、「あらmacのほうが使いやすいわね」とかいって、割とさくさく使いこなしていってるんですよ。なぜ若い人がITに強くて、高齢者がITに弱いかというと、若い人は「ITを使う文化」に所属しているからITに強くて、高齢者は「ITを使わない文化」に所属しているからITに弱いのではないかという気がしていて、文化の問題の側面が強いのではないかと思います。うちでは僕や姉が親のITのサポート役になるようにしているので、割とそのような文化を共有できているのだと思います。丁寧に教えれば40~60歳台でも20~30歳台との差は思ったほど大きくないのではないかと思います。もし、多少アウトプットに差があるとしても、上述した、「現場でしかわからない問題に気づける」というメリットで十分ペイできると考えます。

また、「40台以降のおっちゃん、おばちゃんに現場作業を教えて育ててもすぐ定年になっちゃうからもったいないじゃん」という意見があるかもしれません。ただ、それって20年、30年この会社やビジネスが存在する、という考えの前提での感覚だと思います。でも、昨今起るビジネスのサイクルの期間ってもっと短くなっていると思うのです。だから、20年、30年先のことを考えてもあまり意味がないかな、と考えます。

そもそも、80~90歳とかまで普通に生きる時代で、20歳台と40歳台の差ってどんどん小さくなっている気がするし。

若者と高齢者のITスキルの差は文化の違いと述べましたが、逆に高齢者の文化でも若者に有用なものはきっとあるはずなので、積極的に「異文化交流」をするべきだと思います。その一つの例として、「若手を積極的に登用+ベテランを現場作業にアサイン」ということです。

では、なぜこのような異文化交流があまり行われないのでしょうか。若者としては「おいしいポストを放さないベテランのせいだ! 」とベテラン側のせいにしたくなるかもしれません。ただ、それも一面的な見方であるように思います。

先日、ある会社の新卒採用のページで、「現在の日本の就活に違和感を感じる若者来たれ!みんな同じ真っ黒な就活スーツに違和感を感じないだろうか?うちは個性、多様性を尊重します。既卒やフリーターも積極的に採用します!」みたいな感じで、かなりラディカルな見せ方をしているのをみました。そこで、その時自分も今後の進路を考えていたということもあり、メールで「30歳でも大丈夫ですか」的な質問してみました。多様性を尊重しているのだから、もしかしたら、と思ったのですが、結果は「30歳台は対象にしておりません。」とのことでした。まぁ、その回答には悪気があったのではなく、30歳台の人にこのような「現場で下流な仕事」をさせられない、みたいに思っているのだろうと思います。(「多様性を尊重」って言ってるのに年齢で切るのはおかしな話ですが。)

つまり、何が言いたいかというと、 仮にベテラン側がいわゆる「若手がやるような仕事」をやろうとしても、させてもらえない現実があるのです。ようするに、この社会では、「何歳はどのようなポスト、仕事につく」というのが前提として共有されており、それに反することはなかなかできないようになっているということです。いわゆる年功序列社会です。

とはいえ、そんな社会がやだなーやだなー、といっててもしょうがないので、とりあえず生きます!
あと、「異文化交流 」が起きやすくなるようにすればどうすればいいのかなぁ、と日々考えていたりします。